森吉OP 第四章 壁

我々が佇むのは雪に埋め尽くされた沢である。
その沢を起点に、右岸が崖ライクに切り立っている。我々が進もうとしているその方向に、である。
隊長が作戦を練っているが、下流に高度を下げると旧スキー場への回帰が困難となり、かといって上流に高度を上げるにも大きな回り道になるようである。

「キョウコウトッパスル」

と隊長が雪の安定を確かめながら道を切り開いていく。
目指すは立木が目印となる小尾根。


慎重なトラバース。気を抜くとずり落ちてしまうのだが、幸いにも距離はそれほどない。
が、小尾根を巻いたその先に深めの沢が入っていて更に行く手を阻むではないか。



後ろを見ると、シールがずれるためか苦戦するshige。しかし、シビアな状況から助太刀はできないのでただ声援を送るしかない。


「ツボにします」

周りを探索していた隊長から作戦変更の指示。
shigeが尾根までたどり着くのを待って、スキーを慎重に脱ぐ。
急勾配ではあるが、スパンは短いのでスキーを両手に持ち、ビンディングをピッケルのように効かせながらステップを刻んでいく。
樹林帯ではあるが、これはまるで「登攀」ではないか!
こんなバリエーションまで用意してもらうなんて、ツアー冥利に尽きるな~なんてことを考えながら雪面にブーツを蹴りこんでいく。
短いアルパインな時間も終わると、斜度が緩くなって再びスキー装着。


あとはスキー場跡を目指してトラバース気味に登っていくだけ。
除雪も入っていたらしいので、スキー場からは楽ちんだろうと、まだ、この時は楽観していたのだ。

(第五章 下山 に続く)

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